2020年3月13日金曜日

第37回卒業式

 南池田中学校第37回卒業式を挙行しました。
 
新型コロナウィルスの感染拡大の中、昨日のブログで紹介した体制で行おうとしていた矢先、和泉市で2名の感染者が確認されたとの情報が入りました。市教委の判断で、昨日以上の厳戒態勢で卒業式は行っていいということになりました。登下校の際には生徒の手指の消毒や、式の間は体育館の窓を開放しておくなど、昨日よりも新たに感染症対策を強化しての式となりました。
 国歌、校歌もいつもなら式に向けて練習し、当日はピアノ伴奏で歌っていましたが、今日はテープを流してのものとなりました。マスクをしたままでしたが、国歌も校歌も卒業生たちは立派に歌ってくれました。中学校の最後に歌った校歌は1番の歌詞だけとなりましたが、歌いなさいと言わなくても歌う姿に感想を覚えました。
 卒業証書授与も全員の名前を読み上げ、起立した後にクラスごとに代表一人に渡す形となりました。淡々と進んでいきましたが、マスク越しに発する「はい」の返事に、中学3年間の思いを感じ取ることができました。
 私の式辞と、PTA会長からのお祝いの言葉で卒業式は終わりましたが、厳粛な中で終えることができました。
 卒業生が退場した後、学年主任が3年間の思いを保護者に話すと、温かい拍手をいただくことができました。無事に今日の日を迎えることができ本当に良かったと思います。
 例年なら保護者は最後のホームルームの行われている教室へ行きますが、今日は校舎内への立ち入りを遠慮していただきました。卒業生が教室から出てくるまでの間を体育館内で過ごしていただきました。その間何名かの保護者と話をしました。こんな形での卒業式になったお詫びをすると、こういった形でも開催できたことをありがたく思うというお言葉をいただき少し安心しました。
 私の最後の卒業式がこんな形になったことは残念ですが、立派な子どもたちの姿を見て救われた気がします。卒業生のみなさんも最後がこんな形になってしまったことを申し訳なく思いますが、何年か後に、ひとつの思い出となってくれればありがたいです。
 今日卒業したみなさんが、しあわせな人生を歩んでくれることを心から祈りたいと思います。
 
 以下は、ぎりぎりまで悩んだ今日の式辞です。卒業生の何人かがこのブログで読み返してもらい、少しでも私の思いをわかってくれればうれしいです。


 
 新型コロナウィルスの影響で突然の休校となり、三年生の最後の、そして一番大切にしたい二週間を仲間とともに過ごすことができませんでした。みなさんもとても残念に思ったことでしょうが、先生たちも悔しい気持ちでいっぱいでした。今日の卒業式も開催できるか心配していましたが、こういった形ではありますが開催することができ少しホッとしています。 
保護者のみなさま、本日はお子様のご卒業まことにおめでとうございます。ウィルス感染のリスクを最小限に抑えるということで和泉市教育委員会の指示に従った形で授与式を行わせていただいています。ご理解をお願いいたします。今日で義務教育九年間の課程が終わります。本日を持ちまして、南池田中学校の保護者を卒業されることとなりますが、今後は地域の学校として南池田中学校を支えていただくことをこの機会にお願いしたいと思います。

南池田中学校第三十七期生、二百三十五名のみなさん、ご卒業おめでとうございます。みなさんにとって中学校での三年間はいかがでしたか。私はみなさんとは二年間のお付き合いでした。わずか二年間でしたが、印象に残っていることは数え切れません。どんな場面でもみなさんの素晴らしさばかりが浮かんできます。それぞれの思い出を大切にしたいと思います。
 生徒会が目標として掲げてくれた「スマイル」。先日面接練習をしましたが、その中で、「南池田中学校のいいところはどんなところですか」という質問に、多くの人が「笑顔があふれていて、しっかりあいさつするところです」と答えていました。「スマイル」の生徒会目標が浸透していることを実感しました。「笑顔とあいさつ」が備わっていることはほんとうに素晴らしいことです。その答えを聞きながらうれしい気持ちになりました。「笑顔とあいさつ」をこれからも忘れずにいてほしいと思います。
この二年間で私が歌った曲、坂本九さんの「上を向いて歩こう」とみなさんも二年生の合唱コンクールで歌った「心の瞳」。この二曲は名曲で、これからもきっと歌い継がれていくことだと思います。私がこれらの曲を歌ったことには意味があります。これからのみなさんの人生で、ひょっとして壁にぶつかっているときに、どこかからこれらの曲が流れてくるかもしれません。その時に、中学校の校長が歌っていたことを思い出してください。私の名前や顔を思い出すのではなく、中学校の校長が歌っていたことを思い出し、そこから仲間と共に頑張っていた中学校時代のことを思い出してください。そのことがきっと、壁を乗り越える力となってくれることだと思います。
 中国の思想家に孔子という人がいます。孔子の言動を弟子がまとめたものを論語と言います。その中に、孔子が自分の人生を振り返ったものに次のようなものがあります。「我、十有五にして学に志す。三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳順う、七十にして矩を超えず」というものです。十五歳は、学ぶことを志した年令です。新しい進路先に進むみなさんは、十五歳の今からが学ぶことのスタートだと思ってください。ちなみに私は六十歳で、耳順う年、つまり人の意見に素直に耳を傾けられるようになった年令だということです。そう考えると私自身まだまだ未熟で、これからもみなさんと一緒に成長していかなければと考えます。この孔子の言葉を節目節目で思い返し、自分自身の人生を振り返ってみてください。
 昨年度のスーパー台風による被害、今年の新型コロナウィルスの感染など、予想もしなかった脅威が次々と地球を襲っています。みなさんがこれから学びを重ねていく中で、将来の地球を救う術を見つけ、そういった分野で活躍する人が出てくれればとてもうれしく思います。
 そろそろお別れの時間です。 最後に、三年間みなさんの成長を見守ってくれた、学年主任の先生の学年通信「BELIEVE」の最終号にあった言葉を紹介します。「何があっても、人とのつながりと一歩踏み出す勇気をもって」 これは三年生の先生方から三年間の思いを込めたはなむけの言葉です。この言葉を胸に、南池田中学校で学んだプライドを持って、ぜひ大きく羽ばたいてください。
 みなさんの人生に幸多かれとお祈りし、お別れの言葉とします。卒業おめでとう。


          二〇二〇年 令和二年三月十三日
    
           和泉市立南池田中学校    校 長 松井昭浩

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