2019年3月13日水曜日

第36回卒業式

 第36回卒業式を行いました。
 昨日夕日の写真を紹介しましたが、あの夕日とは裏腹に、昨夜(特に未明)は思わぬ嵐となりました。強風に雨も混じり、寝ていても雨戸を揺らす風の音で目が覚めました。
 けれど、開式のころには雨も上がり、式が終わるころには青空も広がっていました。
 今年の卒業生は218名で、一人ひとりに卒業証書を渡すときには「おめでとう」の言葉をかけました。中には「ありがとうございます」と返事を返してくれた生徒もいました。
 厳粛な雰囲気の中で式が進んでいきました。在校生の素晴らしい「送辞」に対しての卒業生の「答辞」も堂々としたもので、とても立派に読上げてくれました。クライマックスの別れの歌「春に」も気持ちのこもった合唱となりました。
 3年生は明日からは中学校には登校しません。来週火曜日の公立高校の一般入試の結果を待っている人は、しばらくの間は気持ちが落ち着かないかもしれませんが、どんな結果が出たにしろ、4月からの新たな道に向けての新たなスタートを切ってほしいと思います。
 それでは、今日卒業した南池田中学校のみなさんの前途に幸多かれとお祈りしたいと思います。
 卒業おめでとう。
 
 以下は今日の式辞です。


 『今年の冬は比較的暖かい日が多かったように思います。校庭の桜の木も枝々にはしっかりつぼみがつき、一斉に花を咲かせるタイミングを計っています。春は、もうすぐそこまでやってきています。
 南池田中学校第36期生、218名のみなさん、ご卒業おめでとうございます。また、卒業生の門出のお祝いに、ご多忙の所ご臨席くださいましたご来賓の皆様方、高いところからではございますが、厚く御礼申し上げます。
 そして、保護者のみなさま、本日はまことにおめでとうございます。本日で義務教育九年間の課程が終わります。これまでの九年間は並大抵のご苦労ではなかったかとお察しいたします。今日はこれまでの月日をもう一度お子様とともに振り返る日にしてみてください。懐かしい思い出がよみがえってくることだと思います。本日をもちまして南池田中学校の保護者を卒業されることになりますが、今後は南池田中学校を地域の学校として、支えていただくことをこの機会にお願いしたいと思います。
 卒業生のみなさん、みなさんにとっての中学三年間はどうでしたか? 私はみなさんとは一年間のおつきあいでした。わずか一年ではありますが、とても印象深い一年間となりました。
 まず、六月の沖縄への修学旅行。二泊三日をみなさんとともに過ごしました。平和学習で、みなさんの心が感じた平和の大切さを決して忘れないでください。民泊でお世話になった方たちとのお別れのシーンで涙を流しながらお礼を言っている姿も忘れられません。民泊の代表の方にお礼を言いに行ったときに、「素晴らしい生徒さんたちでした。生徒さんたちから元気をもらうことができました」と言っていただき、うれしく思いました。
 平成三十年は災害の多い年でした。六月の大阪北部地震、夏の猛暑、そして、台風による大きな被害など。中でも九月の台風21号はみなさんの生活にも大きな影響を与えました。南池田中学校は停電と断水で四日間の臨時休校を余儀なくされ、そのために、九月の体育祭も延期となりました。そして、予備日の開催となった体育祭も雨の中でのダンスパフォーマンスの発表だけとなってしまいました。それでも精一杯のパフォーマンスを披露してくれた姿に感動を覚えました。
 十月の合唱コンクール。みなさんの仲のよさや、団結力が伝わってきました。今日この後で、三年生が歌う「春に」を楽しみにしています。このメンバーで、そしてこの体育館で歌う最後の歌です。どうか精一杯歌ってください。みなさんの最後の歌声をこの体育館じゅうに響かせてください。私もしっかり心に焼き付けておこうと思います。
 毎朝、玄関で「おはよう」のあいさつを交わしてきました。明日からは、卒業生のみなさんと「おはよう」のあいさつを交わすことはできません。けれど、みなさんはこれから出会ういろんな人たちと元気よくあいさつすることを忘れないでください。度々お話してきましたが、「あいさつは心の扉を開く魔法の言葉」です。これからも南池田中学校の卒業生から日本中にあいさつの輪を広げていってください。
 来年、2020年に東京オリンピックが開催されます。ところが先日ショッキングなニュースが飛び込んできました。競泳でメダル獲得が期待されていた池江梨璃花子選手が白血病であることを公表されました。今も病気と闘っておられます。水泳選手としての復活を願う人も多いと思いますが、まずは一人の人として元気になられることを祈りたいと思います。病気を公表された後、彼女は自身のツイッターで「神様は乗り越えられない試練は与えない、自分に乗り越えられない壁はないと思っています」と書かれていました。世界のトップで戦ってこられた人の言葉には重みがあります。皆さんもこれからいろいろな試練や壁に当たることがあると思います。その時にはこの言葉を思い出してもらえればと思います。池江さんの快復を祈りたいと思います。
 オックスフォード大学教授による「雇用の未来」という論文が4年前に発表され、10~20年後の仕事について書かれていました。それによると、今後10~20年後には今ある仕事の47%が自動化されるリスクが高いということでした。今ある仕事で無くなるものも当然出てくるであろうし、全く新しい仕事も出てくるであろうということです。
 これからは、今の価値観や職業観に縛られることなく、未来を見据えて新しい感覚を磨いていくことが大切になってくることだと思います。
 AIの普及により集まった情報の中のどれか正しいものかを見極める力や、自動化された中でも、人と人とのコミュニケーションを取っていく力が今まで以上に必要になっていく時代がやってきます。これからは知識を身につけるだけではなく、知識を活用することと、電子媒体を使ってのコミュニケーションではなく、フェイスtoフェイスでのコミュニケーションができる力をつけていくことを意識していってほしいと思います。
 そろそろお別れのときが近づいてきました。この一年間で私はみなさんの前で二つの歌を歌いました。文化祭での「島人ぬ宝」と3年生を送る会での「なごり雪」です。私が歌ったことには意味があります。私が歌った二曲はおそらくこれからも歌い継がれていく曲だと思います。いろいろな場面で耳にすることがあると思います。もしかすると、人生の壁に当たっているときかもしれません。そのときに私が歌っていたことを思い出してください。私の名前や顔はどうでもいいのです。中学校の校長先生が歌っていたことを思い出し、そこから南池田中学校でのことを思い出してほしいのです。今ここにいる仲間のことを思い出してください。そしてそのことを人生の壁を乗り越える力と変えてください。
 それでは、みなさんのこれからの人生に幸多かれとお祈りし、私の式辞といたします。みなさん、卒業おめでとう。
 
           平成31年3月13日        
                        
                    和泉市立南池田中学校 
                                           校 長  松 井  昭 浩』

0 件のコメント:

コメントを投稿

校長の日記 最終回

  3月31日は年度の最後の日です。毎年繰り返してきた3月31日ですが、私にとって今年の3月31日は特別な日でした。  1959年に生まれた私は昨年の7月に還暦となり、今日を60歳で迎えました。定年で年度の最終日を迎えました。60歳を一つの節目と考えていましたので、今日で...